どこに住んでも長寿になれる(平成29年4月)

 日本の女性の平均寿命が世界のトップになったのは1985年、丁度「食と健康」に関するWHO(世界保健機構)の調査が始まった年でした。日本に次いで長寿なのは香港の女性で、一時は日本を越えて第1位でした。

 世界の人々の24時間尿を分析し、大豆のイソフラボン、魚に含まれるタウリンが多い地域は、平均寿命を短くする心臓死が少なかったのです。それで日本人は大豆や魚を世界一多く摂っているから、心臓死が少なく、世界一の長寿なのだと分かりました。「健康ひょうご21」の健診でも、大豆や魚を多く摂っている県民は、心臓死を防ぐ善玉コレステロールが多かったのですが、残念ながら塩分を多く摂っているので、高血圧、脳卒中になりやすく、健康寿命が短くなります。

 ところが、香港のお向かいの広州の調査では、大豆や魚は日本人と同じように多く摂り、その上、食塩は15.7gと低く、日本人の半分でした。香港は広州と同じ食生活で「食の健康」に恵まれています。さらに坂の多い狭い地域に住み、エレベーターのないビルも多いので、「体の健康」にもよいのです。そして、儒教の教えが行き届き、お年寄りが大切にされ、3~4世代の家族に囲まれて食事を楽しむ“長寿の食卓”が日常的で「心の健康」にも良いのです。

 このように“食と体と心の健康”の3拍子そろえば、どこでも長寿の故郷は造れます。(家森)

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豆花 黒みつきなこがけ

材料:(4個分)

豆乳(成分無調整)400ml
粉ゼラチン5g
砂糖大さじ1
黒みつ大さじ3
きなこ小さじ4
黒豆(甘煮)適宜

黒みつの作り方
黒砂糖 大匙3 水   大匙3
なべに黒砂糖と水を入れて弱火でとろみがつくまで加熱する。時々アクを取り除く。

エネルギー:
92kcal

作り方

  1. 豆乳と砂糖を鍋に入れて温め(70℃位まで)、ゼラチンを加えて溶かす。
    粗熱がとれたら、容器に入れ、冷蔵庫で冷やす。
  2. ①に黒みつときなこをかける。あれば、黒豆(甘煮)を飾る。

ひと言 栄養ポイント

 大豆・大豆製品に含まれるイソフラボンの健康効果については、これまでいろいろとお伝えしてきました。大豆には、他にも、タンパク質、脂質、食物繊維、カルシウム、マグネシウム、鉄などのミネラル、ビタミンE、ビタミンB1、葉酸などのビタミンも豊富に含まれています。

 大豆は世界の多くの国では家畜のエサとして利用されています。日本人は大豆をおいしく食べる工夫をたくさんもっています。日々の食卓で大豆・大豆製品を積極的に活用したいですね。

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