睡眠時間が長いと死亡リスクが高くなる!多目的コホート研究(JPHC Study)

発信日:2020/05/12

 平成2年(1990年)と平成5年(1993年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古、大阪府吹田、東京都葛飾の11保健所(呼称は2020年現在)管内に在住の40~69歳のうち、調査アンケートに回答し、がんや循環器疾患、糖尿病になっていなかった男女約10万人を、平成26年(2014年)まで追跡した調査結果にもとづいて、睡眠時間とその後の全死亡及び主要な死因別にみた死亡リスクとの関連を調べた結果。
 対象者(99,860人、男性46,152人、女性53,708人)から回答のあった研究開始時の調査アンケートの結果をもとに、日頃の睡眠時間を5時間以下、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間以上のグループに分け、その後、平均約20年の追跡中に、18,042人(男性:11,259人、女性:6,783人)の死亡を確認。死亡に関連する年齢、地域、喫煙、飲酒、緑茶摂取、コーヒー摂取、独居状況、健診受診の有無、余暇の運動頻度、高血圧、ストレス、肥満度(BMI)の影響を統計学的に調整し、睡眠時間が7時間のグループと比較した他のグループの、その後の死亡リスクとの関連について検討。
 平均睡眠時間は男性で7.4時間、女性で7.1時間。男女とも睡眠時間が10時間以上のグループでは、年齢が高く、コーヒーを摂取している割合が少なく、余暇の運動頻度が多く、心理的ストレスがあると感じている人が多い傾向。一方で、睡眠時間が5時間以下の人は、男性では、BMIが大きく、心理的ストレスがあると感じている人が多く、喫煙習慣や飲酒習慣がなく、独居の人が多い傾向。女性では、飲酒習慣がなく、健診を受診し、心理的ストレスを感じ、現在または過去喫煙のあった人が多い傾向だった。
 睡眠時間が7時間のグループと比べて、10時間以上では、死亡全体のリスクが男性で1.8倍、女性で1.7倍高くなった(上図①)。循環器疾患死亡については、男性で、7時間のグループと比べて、9時間以上でリスクが高い関連が示された(上図②)。睡眠時間とがん死亡リスクとの関連はみられなかった(上図③)。
 報告者らは「今回の結果から、日本人では、睡眠時間が7時間のグループと比較して睡眠時間が長い場合に、死亡リスクが増加することが示された。この背景に、どのようなメカニズムがあるのかは、まだ解明されていない。短時間睡眠では、食欲を抑制するホルモンであるレプチンの分泌が低下し、食欲を高めるホルモンであるグレリンの分泌が増加することにより、結果的に食欲が増して肥満を引き起こすことが考えられている。一方で、長時間睡眠では、閉塞性睡眠時無呼吸が多くなり死亡リスクの増加と関連することが考えられる。また、長時間睡眠では病気を持っている人が多く、より死亡に結びつきやすいことも示唆されている。今後の研究によって、睡眠時間と死亡リスクに関する更なるメカニズムの解明が必要である」とまとめている。

※ JPHC Study (Japan Public Health Center-based prospective Study):厚生労働省がん研究班による多目的コホート研究

多目的コホート研究(JPHC Study)
「睡眠時間と死亡リスクとの関連について」
  https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8490.html

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